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イオのアルバムから:「恋はまだまだずっと先」

【この記事は6年前に別のブログに投稿したものの再掲です】


   透きとほる扉の向う詩を愛する犬たちがゐる夏のしづけさ
                          水原紫苑 [1]

 イオは牝犬である。生後6ヶ月くらい、初潮の頃に避妊手術をしたが、それでも正しく女である。女として生まれでて、つまり生物学的な性は女で、ボーヴォワールではないけれども、成長しつつジェンダーとしての女に育ち、そしてそのセクシュアリティはヘテロである。
 したがって、当然のことながら、イオは牡犬に恋をするのである。

 じつのところ、イオの初恋はどれなのか判断する根拠はない。人間よりは行動パターンは読みやすいような気はするものの、「淡い初恋」などということになったら、分かりようがない。考えてみれば、自分の初恋がどれで、どんなふうだったのか、それすら判然としていない私が考えるのだから、あいまいなこと極まりない。

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恋どころか、まだ赤ちゃん(生後3か月)。新聞を囓り散らし、次はお気に入りの人形。 (2000/12/2) 


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人形に飽きて、ブラシの柄。 (2000/12/18)


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浴室から盗んできた湯桶(翌日、新品購入)。(2001/1/1)


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1mのただの木の棒(これが1番の気に入り)。 (2000/12/3)


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ワインだって囓るのだ。 (2000/12/9)


 イオの最初の異性との出会いは、シーズーの「マーくん」である。生後4ヶ月くらいで出会って、すぐにイオの方の体が大きくなったのだが、マーくんはいつも兄貴ぶって威張っていた。マーくんの後をついてまわっていたのは確かだが、初恋とは程遠かったのではなかろうか。それは、どちらかと言えば、成犬になるにしたがってシーズー嫌いになるような、なにか複雑な気持ちで付き従っていたようなのであった [2]。

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まだテーブルのうえには届かない。1ヶ月後にはほぼ制覇。(2000/12/2)


 同じ頃、たまにしか遭えなかったが、「ラッキー」という元気な牡犬がいた。成長した後のイオと同じ位の体格で、似たような毛並みをした雑種犬である。

 隻腕の飼い主と公園にやってくるラッキーは、もちろんリードに繋がれているのだが、まだ薄闇の「かわたれどき」に出会ったときには、ラッキーは広い公園を隅々まで走り回っているのであった。飼い主さんは、どうもラッキーを自由に走り回らせるために、誰もいない時間帯に出かけて来るらしいのである。

 職場の飲み会があって帰りの遅くなった私が、帰宅しようと夜中の一時半くらいに公園を横切ると、三人の人影のまわりを走り回るラッキーがいた。一人は飼い主さんで、もう一人は仕事帰りの中華飯店の若い経営者、もう一人はその公園を「ホーム」にしているホームレスの一人であった。その三人に酔っ払いの私が加わって、ラッキーと一緒に遊ぶ、そんなこともあった。


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炬燵の周りでの寝姿。長々と (2000/12/20)。


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炬燵の周りでの寝姿。大股開きで (2001/1/31)。


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炬燵の周りでの寝姿。膝の上、両方とも熟睡 (2000/12/4)


 時間帯を狙い澄まして現れては公園を駆け回るラッキーに出会うことができたときには、イオは必死になってその後を追いかけるのである。ラッキーは、けっしてイオを邪険に扱うことはないけれども、とくに相手をしてくれるわけでもない。ただ、ひたすらに自分のペースで走り回るのである。
 ラッキーはイオが目に入っていないようにふるまい、イオは自由に歩き回れるラッキーの後を必死になって追いかける。ラッキーはまるで広い公園のガイド役のようで、イオもそんな風に接しているように見えた。ある程度走り回ると、ラッキーがまだ走り回っていてもイオは私のところに戻ってきて、その日の遊びは終わるのである。

 イオの心のうちはよく分からなかったけれども、ラッキーへの恋心のようなものは感じられずに、割りとさばさばした遊びの先輩との付き合いふうなのであった。


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広瀬川の堤防を駆け上がる雪中訓練。こうして筋肉系乙女に。丈夫な足腰とすさまじい突進力は「悲劇の恋」のもととなる。 (2001/1/12)


 初恋の相手は、人も犬もたくさん集まるその公園ではなく、民家から遠く離れた山沿いの早朝の広場である。

 (続く)


[1] 「くあんおん 水原紫苑歌集」(河出書房新社 1999年) p. 181。
[2] 「シーズーぎらひ」HP『ブリコラージュ@川内川前叢茅辺』



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No title

イオちゃんの恋のお話
続きが楽しみです
イオちゃん、恋してたんだ😊
同じ筋肉女子なうちのペロちゃんも
恋してたのかな〜〜なんて考えてしまいました
でもそんな様子は全くなかったけど(笑)

子犬の頃のイオちゃん
アトムなお顔でしたね😁

Re: No title

> イオちゃんの恋のお話
> 続きが楽しみです
> イオちゃん、恋してたんだ😊
> 同じ筋肉女子なうちのペロちゃんも
> 恋してたのかな〜〜なんて考えてしまいました
> でもそんな様子は全くなかったけど(笑)
>
> 子犬の頃のイオちゃん
> アトムなお顔でしたね😁

犬の顔は成長とともにだいぶ変わるのですね。
気持ちが落ち着いてきたので、イオとの時間を少しずつ歩き直してみます。

No title

イオちゃんのブログには途中参加だったので
こうして幼少の時からの秘話も含めて
可愛い姿に出会えてとっても嬉しいです♪
コイバナの行方も楽しみなところで・・(´艸`)

またブリコラージュ拝見させていただいたのですが
前抱きだっこをせがむようになった理由が微笑ましかったです

Re: No title

> イオちゃんのブログには途中参加だったので
> こうして幼少の時からの秘話も含めて
> 可愛い姿に出会えてとっても嬉しいです♪
> コイバナの行方も楽しみなところで・・(´艸`)
>
> またブリコラージュ拝見させていただいたのですが
> 前抱きだっこをせがむようになった理由が微笑ましかったです

ホームページの木記事まで読んでいただいて恐縮です。
コイバナのように書いていますが、じっさいにはイオの交流録のようなものです。
どの犬ももう会えなくなってしまいましたが……。
もう3編ほど書いていますので、順次再掲しようと思っています。
プロフィール

小野寺秀也

Author:小野寺秀也
山歩き、アユ釣り、ヤマメ釣り、山菜採り、茸狩り、花いじり、読書、美術館巡り、街歩き、などが趣味。加えて、犬と遊ぶこと、ぼんやりしているのも趣味の一つです。最近は、原発事故による放射能汚染で魚、山菜、茸は諦めています。

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