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「115歳の日々」:スイカジュースと見せスイカ


 義母は6月以降、3回も救急搬送されて入退院を繰り返しました。1回目は6月19日の10時ころに搬送され、5泊6日の入院で6月24日の午前中に退院しました。ようやく家族と一緒に昼食を終えてひと眠りした義母の血中酸素値が夕方になって下がってしまい、訪問医の判断で再入院ということになりました。自宅滞在7時間の後、義母は再び救急車で運ばれて2度目の入院です。 血中酸素量が低いことを除けばどこも悪いところはないという見立てで、7月6日に退院許可が出ました。
 この2回の入院は、血中酸素が下がって肺炎の疑いということで入院したのですが、いずれも肺炎ではなく、高齢のため心肺機能が弱っているのだろうという診断で、そのため自宅でも酸素吸入ができるようにと訪問医の先生が酸素吸入器のレンタルの段取りをしてくれました。
 ところが、退院して13日目の7月19日の夕方、義母がまた救急搬送されて入院しました。肺炎の疑いでしたが、入院後の検査結果はその疑いはないということでした。ただ発熱と咳きこみの症状から肺炎には至らないものの誤嚥したのではないかということで、この入院を機に義母の食事はほぼ完全な嚥下食にしましょうということになりました。
 さいわい、7月26日の退院からほぼ1カ月近く義母の状態は安定しています。ただし、そのために酸素吸入を常時行うこと、食事はすべてとろみをつけた嚥下食とすること、食事は必ず痰の吸入を行って誤嚥があった場合に対応することが続けられています。

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 水分を十分に取ることも大切なので、とろみをつけたスイカジュースは重宝します。義母にはジュース、私たちには切ったスイカを並べたとき、義母が私たちのスイカを見て「おぉー!」と声を上げたので、義母の前にも切ったスイカを置きました。このスイカを見ながら、義母はあっという間にジュースを飲んでしまいました。この後はずっと「見せスイカとジュース」がセットで並べられます。
 嚥下食に変わっても義母の食欲に変化はありません。いろんなものを嚥下食にするというのが、私の新しい任務になりました。


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 酸素吸入は常時行っています。ときどき大口を開けて眠っているときがあって、そんな時でも効果的に酸素が吸入できるようにマスクも常時着用するようにしています。
 酸素吸入は食事のときも入浴のときも長いパイプに取り換えて行っています。


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痰の吸入器(上)と酸素吸入器(下)。どちらもレンタルです、

 


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「115歳の日々」:食欲無双?


 「食欲無双」という言葉があるかどうかわかりませんが、義母を見ているとそんな言葉が思い浮かびます。
 入院した後はすっかり病人暮らしが身について、病院で看護士さんに食べさせてもらうようにおとなしく妻に食べさせてもらっていましたが、退院5日目あたりから食事に積極的になってきました。妻が手を休めるとすかさず自分で食べ始めます。味噌汁碗に手を出して、すっかりとひっくり返してしまったのが手始めでした。お汁碗を任せるのは不安ですが、目を離すと両手で持ち上げて上手に飲んでいることもあります。
 今朝、下の世話をしている妻に「食事はまだ?」と請求したそうです。それから30分くらい後に車椅子に移るために私がベッドから抱え起こしたときには「おはようございます」と2度ほど声をかけたのですが目をつむったままでした。「朝ごはんですよ。食べる?」というとうっすらと眼を開けて大きく頷きました。食欲は完全復活のようです。毎回、完食です。

 遠くで暮らす長女から週1回か2回、手紙が届きます。その手紙を何度も読みながら、食事の準備ができるのを待っています。だいたいこんなふうに義母の食事は始まります。

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「115歳の日々」:……もしかしてこれ黄金の日々

 日曜日の朝日新聞には「朝日歌壇・俳壇」という短歌と俳句の投稿欄が掲載されます。7月7日付けの朝日歌壇に東京都の篠原めぐみさんという方の次のような短歌が選ばれていました(選者は佐々木幸綱さん)。17日間の入院生活を終えて、義母がわが家に帰ってきた日の翌日の新聞です。

  ありがとうごめんなさいと介護するもしかしてこれ黄金の日々

 ほんとうにそうなのだと思いました。もうほとんど話さなくなった義母ですが、一緒に暮らす日々は私たちだけに与えられたとても大切な時間に思えます。いつかこの日々も終わると思うと、切なくなるほど愛おしい時間だと思ってしまいます。
 とても無口になってしまった義母ですが、起き伏しを介助したり、服を着替えさせたり、食事を手伝ったりすると「ありがとう」と言ってくれます。妻にも私にもヘルパーさんにも「ありがとう」と言います。
 認知症が進んで言葉を失ったかのように無口になった義母の中に「ありがとう」という言葉だけはしっかりと残っているようです。義母はほんとうに素敵なひとつの言葉を持ち続けていて、介護する私たちを慰め、励ましててくれるようです。 苦しい介護を喜びの介護に変える魔法の言葉に思えます。
 妻にこの短歌を見せると、「そう、ほんとうにそう……」と言ったまま黙り込んでしまいました。母との貴重な時間、残された「黄金の日々」を思いやっていたのでしょう。 

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2019年1月1日の義母




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「115歳の日々」:朝に退院、夕べに入院!? (2019/7/6)


 朝食のためにベッドから起きて車椅子に座ったときに義母の血中酸素を測ります。 6月19日の朝、いつものように測ると85%と低い値しか出ません。熱は平熱で、血圧も正常、痰がからんでいる様子もないし咳もしていないのですが、念のため訪問医に連絡すると、急いでやってきて救急入院ということになりました。

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救急車を待っています。 (2019/6/19 10:44)


 血中酸素濃度は低いものの、いつもの誤嚥性肺炎とは必ずしも症状が重ならないと思っていたところ、実際に入院後の検査では肺炎ではないものの肺に少し水が溜まっている影が見えるという結論で、心臓からきているのではないかという判断で利尿剤の投与ということになりました。「なにしろご高齢ですから……」という若いお医者さんの言葉にうなずくしかありません。
 酸素吸入したこともあって入院してすぐに血中酸素は98%くらいまで上がったので、少しずつ吸入量を減らし、翌日には酸素吸入も止めても90%以上の血中濃度を維持していました。そのような経過で、点滴から嚥下食に変え、様子を見て退院ということになりました、


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4泊5日で退院です。 (2019/6/24 10:18)

 6月24日の午前中に5日間の入院を終えて退院ということになりました。数名の看護婦さんがエレベーターに乗る義母を見送りにきてくれて、義母はエレベーターの中から小さく手を振ってお別れをししました。何度も入院している大きな病院ですが、ある看護婦さんが妻に「松下さんが入院すると病棟全体が緊張するんですよ」と話してくれたそうです。ほんとうにありがたいことに、義母のためにみなさんいつも一生懸命です。

 帰宅して、みんな揃って昼食を終えて、義母は自分のベッドで休みました。家族も久しぶりにゆっくり(ぐったり?)していました。
 夕方念のためにと、血中酸素濃度を測ってみたら83%という低い値だったので、けっこう慌てて訪問医に来ていただいたら、再入院ということになってしまいました。午前中に退院、夕方の入院という慌ただしさでした。

 再入院後の検査でも結果は5日前と変わらないものの、点滴と酸素吸入からやり直しです。血中濃度はすぐに戻ったので酸素吸入はすぐにに止めてしまいました。ただ、血中酸素濃度を常時測定し、看護室でも監視できるように措置していただきました。
 数日後の夜中に血中酸素濃度が80%くらいに下がったと言って看護婦さんがやってきて酸素吸入を始めたのですが、その作業の間に数値が回復してしまいました。次に酸素濃度が下がった時には、酸素吸入なしでマスクをしただけで回復しました。そのうち、何をしなくても1時間ほどで回復することがわかりました。

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声をかけたら目覚めたのですが左の瞼ががうまく開きません。  (2019/6/30 16:25)

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右耳を下にしているので補聴器が使えず、声をかけても目覚めません。 (2019/7/4 15:36)

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退院です。この時は看護婦さんの見送りに応えず目を閉じたままでした。 (2019/7/6 10:12)

 今回は、12日間の入院で血中酸素濃度の低下、回復がときどき起きることがわかりましたが、短時間で回復するといっても低酸素状態になるのは好ましいことではないので、退院後に訪問医に相談した結果、自宅で酸素吸入を行うことになり、少し安心です。




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「115歳の日々」:散髪をしました! (2019/6/13)


 朝食がすんでから、しばらくぶりの散髪です。電気バリカンを使ってあっという間に終わります。
 バリカンで整髪し、最後に襟足などを剃って15分で終わりました。

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 午後になると教会の方が来られ、義母はにこにこ笑ってみなさんをお迎えしました。
 帰られる前には義母を囲んで讃美歌を歌ってくださいました。

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プロフィール

小野寺秀也

Author:小野寺秀也
山歩き、アユ釣り、ヤマメ釣り、山菜採り、茸狩り、花いじり、読書、美術館巡り、街歩き、などが趣味。加えて、犬と遊ぶこと、ぼんやりしているのも趣味の一つです。最近は、原発事故による放射能汚染で魚、山菜、茸は諦めています。

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